Frankfurt U5-Wagen

Frankfurt U5-Wagen

Photo by: NITS-Center

基本情報

フランクフルトを走る車両の中で最も数の多いU5型は、2008年から地下鉄の各路線を走る最新の車両形式。既存車両と同じく2両1編成構造で両運転台の車両もあるほか、片方は貫通路になり50mにわたって通り抜けることのできるものもあり、間に中間車を増結することで75mや100mまで延長することもできる。

製造年:  2008-2017 / 2021-2022
製造会社: Bombardier
製造数:  249 (U5-ZR: 96, U5-ER: 130, U5-MW: 23)
廃車:   (2011)
運用開始: 2008
運用終了:
編成両数: 2両編成249本
編成:   A-B

台車配列:   Bo'2'Bo
軌間:     1435mm
全長:     U5-ZR: 25,84m / U5-ER: 25,17m / U5-MW: 24,50m
車幅:     2.65m
車高:     3.61m
最高運転速度: 80km/h
最高設計速度: 90km/h
制御方式:   直流600V

利用する際のお得な情報

車両中ほどに広めにとられたバリアフリースペースが設計されており、大型の荷物などをもって乗る際にはそちらをお勧めする。なおベビーカーや車いすが優先。自転車を持ち込む場合は、消火器のある部分に移動し、消火器と壁の間に前輪を挟むことである程度安定に固定できる。
運転手によって加減速がかなり強いことがあるため、手すりに摑まることは必須。

RealTrainModでも利用可能。詳しくはこちら

製造経緯と歴史

フランクフルト地下鉄を長年支えてきたU2型、U3型やPtb型の老朽化に伴い、新車の導入が検討された。U4型までの需要による増備とは違い、置き換えのための新車導入は当形式が初となった。
導入にあたっては、置き換え対象である3形式のバラバラな規格を統一すべく、車幅や車両長、さらには客室の床の高さなどを見直し、当形式の導入とともに大半のプラットホームも改修された。
2005年の12月に入札によってBombardier社が製造することが決まり、2006年3月に正式に146編成と24編成分のオプション付きの契約が確定したことが発表された。
バリアフリーなどの観点も含め、既存車両と比べていろいろな部分が最新のスタンダードに合わせられている。乗客からの意見なども取り入れたモックアップが製作され、最後まで複数の修正点などが組み込まれたのち、2008年に最初の車両が搬入された。同年9月12日には営業運転を開始し、徐々に数を増やしていった。発注された146編成の製造は2017年6月に終了した。
後にオプションにて中間増備車が22本発注された。製造の遅延により、追加で一編成が無償で提供されることとなり2023年までに23本が搬入される予定。

ホームの高さの関係上、営業運転開始当初はHeddernheim車両区に配備され、U1/U2/U3/U8/U9号線限定で走行した。当車両区のU2型の完全置き換えが終了したのち、Ost車両区にも配備され始め、ホーム改修工事の終了したU7号線、U6号線の順に徐々に置き換わっていった。U4号線のホーム改修工事が2015年に終了した際、U6号線と車両を交換し、U6号線にはそれまでU4号線限定運用だったU3型が、U4号線には新車のU5型が導入された。2016年10月には路上停留所があったU5号線のホーム設置工事も終わったため同路線の運用を開始し、2017年に全路線の完全置き換えが終了した。

2011年8月に留置線への回送列車の入替作業を行っていた3編成列車の運転手がブレーキ不具合を訴えた。当該列車はすぐに運用停止命令が下された。確認したところ、ソフトウェア不具合により3編成連結及び4編成連結にてブレーキ指令の伝達が遅延する可能性があることが判明。このエラーが当形式の全車両で起きかねない事案だと判明したため、翌日から当形式の3編成連結及び4編成連結が禁止された。製造会社によるパッチ修正は4週間ほどかかったため、ラッシュ時などには一度撤退した旧型車両が再度運用に就くことになった。パッチ修正は同年9月から10月にかけて行われ、修正された車両同士の3編成連結や4編成連結が再開された。

車両構造

一編成は連接台車でつながっている車両2両から成り立っており、パンタグラフを搭載している車両がA車、もう片方がB車となっている。BombardierのFlexityファミリーに属しており、大部分がモジュール構造となっている。フランクフルトには同ファミリーから路面電車のS-Wagenが存在するため、一部パーツは共用できる。

U5-100の車内。Photo by: NITS-Center

車内は2+2のボックスシート配列となっており、A車とB車の連接部分にバリアフリースペースが広くとられている。
ドア周りは視認性のためにオレンジの蛍光色で識別しやすくなっており、手すりも同様の理由で黄色に統一されている。つり革も存在はするが、配置場所の関係上滅多に使用される場面を見ない。登場当時はドア部分の天井にある丸い手すりにもつり革が設置されていたが、背の高い人の顔面に直撃することが多くクレームが入ったことにより、1年経たずに撤去された。
全車両に防犯カメラが複数個所に設置されている。運転席のモニターで確認できるほか、一定時間記録される。

簡易運転台。普段目にすることは非常時以外はない。Photo by: NITS-Center

運転席はクラッシャブルゾーン含め比較的広く設計されており、加減速のマスコン以外はほとんどがボタン操作となっている。四角いボタンだったU4型とは違い、U2型などと同様の丸型に戻った。
客室と運転席の間の扉はスモークガラスとなっている。
U5-ERやU5-MWに設置されている貫通路には簡易運転台が設置されている。こちらには基本操作に必要なボタンのみが配置されている。

改造

大きな改造はされておらず、さほど目立たない部分の改造がいくつかある。
ドア横の手すりの形状が2度ほど変更されている。手すりの形状をガラスの仕切りに近づけることで、デットスペースを減らした模様。古い形状の手すりは現存しない。
1次車、2次車と3次車の一部は行先表示がFlipDotで搬入されたものの、製造停止に伴いS-Wagenの予備パーツ確保のためにU5型は徐々に白色LEDに変更されている。
U4型との併結を行うため、プログラムの更新を行った。ほかにもブレーキシステムインシデントやITCS更新などに伴って幾度かプログラム更新を行うことがあり、未更新編成と区別をつけるために前面ガラス左下にステッカーをつける。

各仕様の違い

U5-ZR (U5-25)

U5-ZR同士による編成。Photo by: NITS-Center

両側に運転台がついている非貫通タイプ。単独編成で走行できるほか、ラッシュ時間帯での増結などのしやすさなどの利便性がある。
601号編成から696号編成までの96編成が存在するが、運用に就くのは除籍された601号編成と602号編成を除いた94編成のみ。パンタグラフが搭載されている車両がA車、反対側がB車となるが、基本構造はほぼ同じ。

U5-ER (U5-50)

U5-ER同士による貫通編成。Photo by: NITS-Center

片運転台式のタイプ。2編成を背中合わせで連結することによって、4両貫通できる編成が組みあがる。
普段は同時搬入された続番(例:801-802)で編成を組むが、事故などによって長期離脱する編成が複数いる際にはランダムに編成されることもある。
801号編成を筆頭に、930号編成までの130編成が在籍している。一部のペアは4両にわたって全面ラッピングをしているものもある。

U5-MW (U5-75 / U5-100)

単独の中間車。通常では撮影することはできない。Photo by: NITS-Center
2022年9月に特別に一度だけ運行された75m編成。Photo by: NITS-Center

U5-ERの間に挟んで、貫通して使える長さを伸ばすための中間車。付随車扱いとなっているため、4桁の附番となり1901号編成から1923号編成となるものの、電気系統の引き通しができないため、フランクフルト初の電動付随車となる。
2編成同時に挟むことで、最大100m貫通の列車を組むことができる。1編成だけを組み込むことで75m編成を作ることができるが、75m編成が運用に就いたのは2022年9月4日の一日のみ。通常では100mに組んでU4号線での運用が中心となるため、単独での撮影は機会がないものと思われる。
ドイツの軌道法では、道路上を走行する鉄道車両は最大75mまでとなっている。U5-ZRは25,84m、U5-ERは25,17mとなっており、3編成列車は許容範囲を上回ってしまう。U5-MWを挟んだU5-75では全長が74,84mとぎりぎり収まるため、事実上営業運転に就くことができるが、上記日程に行われた特別運行以外は運用は予定されていない。

特殊編成

一部編成は窓部分を含めた全面広告ラッピングや窓下の部分のみを使った広告ラッピングをまとっている編成が複数存在する。頻繁に変わるため、すべてのバリエーションを掲載するのは難しいので、広告ではないものの特別なデザインになっているもののみ紹介する。

50周年記念の車両の横並び。Photo by: NITS-Center

地下鉄50周年記念 (625号編成/675号編成)

フランクフルト地下鉄50周年を記念して、625号編成と675号編成が記念ラッピングされた。地下鉄開業当初の赤白塗装と現在のターコイズを車両の左右で半分ずつラッピングし、側面や車内に歴史を振り返る広告を掲載していた。現在は両車両とも通常色に戻されており、見ることはできない。

姉妹都市広告 (複数編成)

市電のS-Wagen同様、当形式の複数車両にフランクフルト市と姉妹都市である町のラッピング車が存在する。ラッピングは以下の通り:
・プラハ(チェコ): 604号編成
・カイロ(エジプト): 605号編成
・トロント(カナダ): 606号編成
・ブダペスト(ハンガリー): 637号編成
・横浜(日本): 641号編成
・クラクフ(ポーランド): 667号編成
・エスキシェヒル(トルコ): 676号編成
・ミラノ(イタリア): 679号編成
・広州(中国): 686号編成
・バーミンガム(イギリス): 693号編成

姉妹都市PRの全面ラッピング車の一例。Photo by: NITS-Center
カラフルで目立つCSDラッピング。Photo by: NITS-Center

CSDレインボー (612号編成)

612号編成はクリストファーストリートデーにちなんで、多様性を強調するためのレインボーカラーをまとったラッピングとなっている。ベースカラーがピンク色となっており、遠くからも目立つ。

地下鉄建設 (696号編成)

U5-25型の最終編成でもある696号編成には、フランクフルト地下鉄の建設にかかわった作業員を称えるラッピングがされていた。全検のタイミングで剥がされ、現在は見ることができない。

ダークグレーでシックな広告に包まれた696号編成。Photo by: NITS-Center

在籍状況

量産先行車の601号編成と602号編成は、量産車に合わせる改造のために工場へ送り返された際、洪水の被害で水没したため営業運転に使えなくなり、フランクフルトへ戻されたものの除籍された。除籍後は消防訓練のために利用されている。ほかの編成はすべて営業運転についている。
なお量産車の603号編成は搬入当初は601を名乗っており、量産先行車の601号編成が搬入されるとともに現在の車番に改番された。すなわち、トップナンバーは603号編成となる。

運用情報

フランクフルト地下鉄の全線で走行中。中間車を挟んだ100m編成は現在はU4号線のみ、そのほかは比較的ランダム。U5号線とU9号線は基本的にはU5-50で走行しているものの、U5-25の重連による編成になる場合もある(U9号線においてはU4型になる場合もある)。
車両長の影響で重連以上が編成できないU5号線以外の路線は、U5-25の3編成連結したものかU5-50+U5-25の約75m編成が多い。U2号線の朝ラッシュの一部運用及びU4号線の平日の運用は100m級の4編成連結したものが運用につく。U5-25単独運用は週末のU9で見ることができる。
ドイツの軌道法では、道路上を走行する鉄道車両は最大75mまでとなっている。U5-ZRは25,84m、U5-ERは25,17mとなっており、3編成列車は許容範囲を上回ってしまう。U5-MWを挟んだU5-75では全長が74,84mとぎりぎり収まるため、事実上営業運転に就くことができるが、2022年9月に行われた特別運行以外は運用は予定されていない。
2022年現在、U4型とU5型の併結運用は少なからず見ることもできる。月に1回あればいいほうではあるが、完全ランダムなため運用を狙うことは不可能。

情報ソース

・フランクフルト市電保存会
・VGF, "Frankfurter U-Bahn: Rückgrat der Mainmetropole", 2018, Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Die Elektrische: Unterwegs in Frankfurt", 2018, Druck- und Verlagshaus Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Mobilität für Frankfurt: 50 Jahre moderner Nahverkehr", 2018, Societäts-Verlag, ISBN 978-3-95542-320-9