Frankfurt K-Wagen

Photo by: NITS-Center

基本情報

Ebbelwei-Expressとしても親しまれているK型は、フランクフルト市電の歴史上最後の2軸車両でもあり、戦後の市電再建に最も役立った形式。被災車両から組み上げられた車両もいる中、一部は完全新造されたものもある。

製造年:  1949-1955
製造会社: Düwag / Credé
製造数:  動力車65両/付随車122両
改造年:  1977
廃車:   1978
運用開始: 1949
運用終了: 1978

台車配列:   Bo
軌間:     1435mm
全長:     11,44m
車幅:     2,163m
車高:     3,11m
最高運転速度: 60km/h
最高設計速度: 60km/h

利用する際のお得な情報

現代の車両とは違い、走行中は振動がかなり伝わりやすいほか、座席が木製のため響きやすい。また、入り口部分はステップがあるためバリアフリーではない。揺れも激しいので、手すりに摑まることは必須。

製造経緯と歴史

1949年以降、戦時中に被災した車両の足回りを流用して製造された。資源不足だったこともあり、シンプルな構造となっているが、戦前の車両と比べると一段と違うものだったという。改造車両の成功例は後に完全新造の追加注文にもつながった。
大半の車両は1970年代後半までに引退した。一部の車両は事業用車のAt型に改造されたり、フランクフルトの観光トラムでもあるEbbelwei-Express向けに改造された。
2023年現在ではK型が4両、k型が6両在籍しており、Ebbelwei-Expressとして運行されているほか104号車が静態保存されている。

車両構造

戦後すぐの製造だったため、車両全体の構造はかなり簡易的なものとなっている。扉は2枚の引き戸式で、客室部分は各4枚の大型窓ガラスで構成されている。座席は窓に合わせたボックスシート配列の2+1。

改造

先述のOffenbach向けの改造のほか、事業用車に改造された車両が複数いた。改造されたのは主に最新のもの(120番台中心)。
Ebbelwei-Express向けに改造された車両は近年になって再改造され、オーディオ再生などができるようになるなど電気系統が強化された。

各仕様の違い

動力車であるK型には、大きく分けて2グループが存在する。
1949年から1953年にかけて40両導入された461号車から500号車は戦時中に被災したF型やG型の足回りを流用した改造車。それに対し、1954年から1955年にかけて導入された25両は完全新造の101号車から125号車となっている。両タイプの違いは主に足回りに見え、内部はほぼ同じものとされた。
付随車のk型は、製造されたグループは3つではあるものの、改造を含めると6グループに分けることができる。
戦時被災したg型付随車をベースに、K型と同時に誕生したものがk型(初代)となる。1661号車から1972号車の計12両が製造されたが、後にk型(2代目)が登場するとともにgk型と改称され、車番も全て‐2された。ほぼ同時期にc型とd型付随車も改造されてk型の付随車と扱われた。
計50両製造されたこのグループは種車の車軸の関係上gk型と比べると窓一枚分短い。e型と称されたこのグループは主にJ型の付随車となった。
当初kv型と名付けられた1671号車から1730号車の60両はk型(2代目)となる。当グループは完全新造のもので、1953年から1955年に製造された。
ka型と名付けられた1671号車から1700号車はk型からの改造で誕生したグループで、L型M型N型の付随車として活躍するためのシャーフェンベルグ式連結器を搭載したり簡易運転台などが取り付けられた。
フランクフルトの隣町となるOffenbach市電に向けて、8両売却された。改造が行われ、フランクフルト市電のものと違いが出たことから、ko型と呼ばれた。
一部の車両は事業用車のAt型に改造されたり、フランクフルトの観光トラムでもあるEbbelwei-Express向けに改造された。

在籍状況

貸し切り運転で走行するK型。クリックで拡大 Photo by: NITS-Center

2023年現在ではK型が4両、k型が6両在籍しており、Ebbelwei-Expressとして運行されているほか104号車が静態保存されている。

運用情報

現在ではEbbelwei-Expressとして走行しているほか、チャーター便で使用されることが多い。
Ebbelwei-Expressは週末と祝日を中心にフランクフルトの主な観光地を回る路線で、車内では地元のリンゴ酒・リンゴジュース・水をどれか一本堪能できる。運賃は通常切符とは別。

情報ソース

・フランクフルト市電保存会
・元運転手だった同僚
・VGF, "Frankfurter U-Bahn: Rückgrat der Mainmetropole", 2018, Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Die Elektrische: Unterwegs in Frankfurt", 2018, Druck- und Verlagshaus Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Mobilität für Frankfurt: 50 Jahre moderner Nahverkehr", 2018, Societäts-Verlag, ISBN 978-3-95542-320-9

関連形式

フランクフルト路面電車At型 | K型 | L型 | M/Mt型 | N型 | O型 | P/Pt型 | R型 | S型 | T型
フランクフルト地下鉄U1型 | U2型 | U3型 | Ptb型 | U4型 | U5型