Frankfurt U3-Wagen
基本情報
主にU4号線で活躍したU3型は、フランクフルト地下鉄でもひときわ目立つ異端児。27編成と少ないながらも、チョッパー制御などの新たな装備で存在感を示した形式。
製造年: 1980
製造会社: Düwag, Wegmann, Siemens
製造数: 27
改造年: -
廃車: 2017-2018
運用開始: 1980
運用終了: 2018
編成両数: 2両編成27本
編成: A-B
台車配列: B'2'B
軌間: 1435mm
全長: 24,49m
車幅: 2,65m
車高: 3,28m
最高運転速度: 80km/h
最高設計速度: 90km/h
利用する際のお得な情報
当形式は加減速が比較的急なため、常に手すりにつかまっていることをお勧めする。
製造経緯と歴史
1980年代に開通するフランクフルトの新規地下鉄路線向けに1977年から新型車両の開発が行われた。1次車として登場した451号編成から477号編成はU4号線開通とともに営業運転を開始した。のちに2次車が大量発注される計画があったが、実際に注文されることはなく終わったため、27編成の少数派にとどまった。
当形式は全車引退するまで事故廃車などが無く、最初から最後まで全編成が在籍した。フランクフルト地下鉄で事故廃車などなく最後まで走ったのは2023年現在当形式のみ。
車両構造
先代のU2型とは違い、扉が台車の位置に左右されなくなったことから、座席配置が変更された。そのため、U2型では「運転席・扉・窓・窓・窓・扉・窓」だった配置が「運転席・窓・扉・窓・窓・扉・窓」となった。当形式で採用された配置はのちに登場する形式にも受け継がれる。
U2型では狭いと不評だった運転室も車両長を伸ばすことでスペースを拡大した。
フランクフルトの地下鉄車では初めてチョッパー制御が採用された。U2型とは制御方法が大きく異なるため、U2型のブレーキ操作のままU3型を停めようとするとだいぶ滑走するため、運転開始当初はオーバーランが多発したと言う。
改造
自動運転の試験のため、最後に搬入された476号編成と477号編成が改造された。試験期間中は両車とも通常営業には入らず、夜間試験運転を行った。1か月の試験の後、他の車両と同様の使用に戻された。
各仕様の違い
特筆できるような仕様の違いは存在しない。
特殊編成
上記の自動運転試験車2編成以外は、特筆できるような特殊編成は存在しない。
在籍状況
フランクフルト地下鉄の車両は2018年10月に引退したものの、保存会に3編成が譲渡された。最初に搬入された451・452・453号車が対象で、新型車両との車番重複を避けるために保存車向けの100番台を名乗り、151・152・153号車に変更されている。
SGP製造の類似形式ET40/50が存在する。Düwag製のU3と比べてフロント部分の淵がやや広いほか、扉配置車体につき片側一か所のみとなっている。
本来はU3型と同じく折戸式の扉だったが、外開きプラグドアに換装したほか、バリアフリー化のために中間車を組み込んだ編成がいる。
運用情報
フランクフルト地下鉄では現在は3編成とも動態保存で不定期に臨時便に投入されることがある。
現役時代には導入当初はU4号線専用の車両だった。U4号線がEnkheimまで延長運転された後もU4号線専用で運行された。本来のU4号線は全区間地下だったため、2008年の延伸まで当形式は基本的には地下でしか見ることができなかった。
バリアフリー化工事の関係上、2015年4月から2016年8月及び2016年10月から2017年4月まで当形式はU4号線を離れてU6号線にて運用された。
フランクフルトから引退したのち、メキシコのMonterreyへ売却された。
情報ソース
・フランクフルト市電保存会
・元運転手だった同僚
・VGF, "Frankfurter U-Bahn: Rückgrat der Mainmetropole", 2018, Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Die Elektrische: Unterwegs in Frankfurt", 2018, Druck- und Verlagshaus Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Mobilität für Frankfurt: 50 Jahre moderner Nahverkehr", 2018, Societäts-Verlag, ISBN 978-3-95542-320-9