Frankfurt S-Wagen (Bombardier Flexity Classic)
基本情報
2003年に登場したS型は74編成という巨大な数でフランクフルトの市電を支える形式。初めて冷房装置を搭載したり座席数を増やしたりなど、市内の移動を今までより快適にするためあらゆる新要素を組み込んだ車両。
製造年: 2003-2007 / 2012
製造会社: Bombardier
製造数: 74
改造年: -
廃車: -
運用開始: 2004
運用終了: -
編成両数: 3両編成74本
編成: A-C-B
台車配列: B'2'2'B'
軌間: 1435mm
全長: 30,04m
車幅: 2,40m
車高: 3,49m
最高運転速度: 70km/h
最高設計速度: 70km/h
利用する際のお得な情報
車内は先頭車両の扉から中間車側にバリアフリースペースを設けているが、この部分は最も混雑しやすい。逆に混雑しにくいのは先頭車の運転台よりではあるが、万が一のことを踏まえて乗務員のいる先頭側をお勧めする。なお、一番先頭の座席は通路側から展望席のようになっている(窓側は柱の関係上見えにくい)。
製造経緯と歴史
先代のR型は評判が悪かったため、追加発注オプションはキャンセルとなった。同時に新規発注で11本の納車に関する競争入札が開始され、Bombardier社での製造が決まった。2006年のドイツで開催されるワールドカップに向け、低床車両導入に対する補助金が下りたため、11本の注文が60本へ大幅増加された。
2003年10月に最初の車両がフランクフルトへ搬入され、2007年には後に追加オプションで発注されたものを含め201号編成から265号編成の計65本が営業運転を開始した。2011年10月にはさらに10本の追加発注が行われたものの、資金の関係上製造されたのは266号編成から274号編成の9本。現在では合計74本のS型が走行中。
同系列が走行しているストックホルムでは2007年に一時期車両不足が発生していたため、3編成が貸し出されることとなった。2年後にフランクフルトへ戻り、現在ではほかの車両とともに運用に就く。
車両構造
台車配列の関係上、先代のR型とは違い、低床部分は70%に減少した。また、車幅を5cm拡大することにより、狭いながらも2+2配列が実現した。12編成にて防犯カメラが設置されたほか、初めて車内クーラー設備が設置された。先頭部分のカバーの下にはシャーフェンベルグ式連結器を搭載しており、2編成連結して運行ができる。
車両長に対して、扉の数が3か所に減ったのはかなり批判されることが多い。
車内は先頭車両の扉から中間車側にバリアフリースペースを設けており、他はボックスシートかクロスシートとなっている。手すりは黄色く塗られ、仕切りはガラスのものを採用することで、車内の空間を広く見せながら掴まれる部分を目立たせている。
改造
自動運転アシストを搭載するにあたって、2010年代半ばより運転席周りの改造が行われている。目立った改造は無いが、前面行先表示の下に吸盤型のカメラが三つ搭載された。
各仕様の違い
特筆できるような仕様の違いは存在しない。
特殊編成
一部編成は窓部分を含めた全面広告ラッピングや窓下の部分のみを使った広告ラッピングをまとっている編成が複数存在する。頻繁に変わるため、すべてのバリエーションを掲載するのは難しいので、広告ではないものの特別なデザインになっているもののみ紹介する。
姉妹都市広告 (複数編成)
地下鉄のU5型同様、当形式の複数車両にフランクフルト市と姉妹都市である町のラッピング車が存在する。ラッピングは以下の通り:
・リオン(フランス): 238号編成
・テルアビブ(イスラエル): 251号編成
在籍状況
全74編成とも在籍しており、運用に就く。
事故破損により、220号編成と231号編成は事故から1年後に220''号編成として出場した。231号編成は新たな先頭車両2両とともに2年後に復帰した。
運用情報
2023年現在、全ての市電路線で運用に就く。スタジアムのイベントがある日には20号線に併結運用として投入されるため、他の路線から日中に引き抜かれる場合がある。
情報ソース
・フランクフルト市電保存会
・VGF, "Frankfurter U-Bahn: Rückgrat der Mainmetropole", 2018, Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Die Elektrische: Unterwegs in Frankfurt", 2018, Druck- und Verlagshaus Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Mobilität für Frankfurt: 50 Jahre moderner Nahverkehr", 2018, Societäts-Verlag, ISBN 978-3-95542-320-9