Frankfurt L-Wagen (Düwag T4)
基本情報
戦前の車両を置き換えるとともに輸送力増強のために導入されたL型。のちのDüwagのスタンダードになるGroßraumwagenシリーズの初期の車両で、フランクフルトでは最初の4軸車でもある。
製造年: 1954-1957
製造会社: Düwag
製造数: L: 42 / l: 42
改造年: 1962 (L>Lv) / 1967 (Lv>L)
廃車: 1983/1992-1996
運用開始: 1956
運用終了: 1996
編成両数: 動力車42両・付随車42両
台車配列: B'B
軌間: 1435mm
全長: 14,03m
車幅: 2,20m
車高: 3,185m
最高運転速度: 70km/h
最高設計速度: 80km/h
利用する際のお得な情報
運転室との仕切りがないため、前方ではハンドル操作が間近で見れるほか、運転席後ろの3人掛けロングシートではノッチの音がよく聞こえる。ほかのフランクフルトのDüwag車と比べて、滅多に出庫しないN型の次に響きが良く、走行音も比較的静かなので録音に最も適している。
製造経緯と歴史
戦前のV型やC型を置き換えるとともに輸送力増強のために導入された。当形式が導入されるまでの小型車両と比べて丸みのかかった前面形状なども独特であったが、座席モケットの一新やボギー台車による乗り心地改善なども乗客にとっては特別であった。また郊外のOberurselやBad Homburgなどに向かう車両の置き換えも兼ねており、原型とは仕様が少し違うLv型も製造された。
最初のころは、ワンマン運転化に伴い大規模改造が行われたり、郊外路線向け車両が市内線向けに再改造されたりなど頻繁に動きがあった。1990年初頭になって一部路線の地下鉄化や路面電車の廃止運動、さらには新型車両の導入により余剰が発生し始めた。1996年に完全引退し、不要となった車両はブカレストやガラツィに譲渡された。
車両構造
のちのDüwag車の基本構造となる、前面に丸みのかかった車体で片側3扉の構造となっている。正面のフロントガラスは平面のガラスではあるが、前面部分の側面に回るガラスは曲面ガラスとなっている。操作はハンドル式で、他の大半の操作は操作盤のボタン制御となっている。片運転台車両につき、運転台は前方のみに設置されている。後方及び付随車の両端に簡易運転台がついている。
車内は前方から中央までが2+1、中央から後方が1+1の座席配列となっており、全ての座席が前を向いている。
改造
後述の通り、218号車から221号車(及び付属の付随車1218号車から1221号車)は1962年にLv型に改造された。1967年にはLv型が全車L型に戻され、Lv型は全廃となる。増設されたライトはそのまま残る。
1960年半ば、ワンマン運転化に伴い、Lv型を除いた車両が改造を受ける。
各仕様の違い
L型
市内線向けの通常仕様。運用開始当初はツーマン運転向けの仕様だったが、先述の通りワンマン化されている。
Lv型が改造されてL型になった編成もある。
Lv型
郊外線に入線するために仕様が異なる編成。203号車から217号車とその付随車1203号車から1217号車、のちにL型から改造された218号車から221号車と付随車1218号車から1221号車までが該当する。車輪のフランジ部分が他と比べて大きいことや、ヘッドライトが2灯式などの細かい違いがある。
郊外路線が地下鉄に置き換わるとともに市内線向けに改造された。ヘッドライトは2灯のまま残った。当仕様は現存しない。
特殊編成
201号車と202号車及びその付随車1201号車と1202号車はいわゆるプロトタイプで、全面的な車体構造が違った。主に窓周りで大きく異なり、窓ガラスの大きさや窓割などに差がみられる。1972年に事故廃車となった202号車以外は1983年まで走り続けたのちに保存される予定あったが、第一編成は仲介業者に売却されたまま野ざらしの状態で放置されている。1202号車は第一編成の保存に向けて予備パーツ確保のために部品取り車両となったのちに解体された。
在籍状況
フランクフルトには静態保存されている236号車と1219号車が残っているほか、124号車(元224号車)と1242号車が動態保存されている。
動態保存されている2両は保存会のイベントや臨時運転に使用される場合がある。
フランクフルトでの運転終了後、一部車両はブカレストやガラツィに譲渡された。現在は全車引退済み。
付随車が3両Kasselに売却されたが、現地の仕様に合わなかったため短期間で廃車となった。
運用情報
当形式の定期運用は1996年に終了しており、現在は動態保存されている2両は保存会のイベントや臨時運転に使用される場合がある。
過去には市内の各路線で運用されたほか、Lv型に改造されたものはフランクフルト北部に位置するOberurselやBad Homburgまで運用された。1963年から1980年にかけて、L型とka型の異種形式連結も見ることができた。
情報ソース
・フランクフルト市電保存会
・元運転手だった同僚
・VGF, "Frankfurter U-Bahn: Rückgrat der Mainmetropole", 2018, Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Die Elektrische: Unterwegs in Frankfurt", 2018, Druck- und Verlagshaus Zarbock GmbH & Co. KG
・VGF, "Mobilität für Frankfurt: 50 Jahre moderner Nahverkehr", 2018, Societäts-Verlag, ISBN 978-3-95542-320-9