去年から話題に上がる、車両譲渡の計画。2022年6月撮影

ノルウェー92型、ついにウクライナへ譲渡か

すでに2023年3月ごろから話題に上がっていた、ディーゼル車両の譲渡。長らく動きのなかったこの件も、少しばかり動き始めた様子。

以前も、こちらの投稿にて計画の情報をお知らせしていた。当時は計画のみが公表されており、詳細情報なども無かったためどのような形で国を跨ぐのかなども不明であった。

今回仕入れた情報によると、現段階で運用を離脱して準備作業が行われているのは現存する12編成中4編成。3月上旬にはシンボル的なセレモニーが行われたようで、ウクライナ側のスタッフがノルウェーに研修のために訪問しているとも報じられている。なおウクライナの大半の線路は1520mmでありながら当形式は1435mmの線路幅にのみ対応しているため、改軌が必要となるのか、はたまた1435mm区間での運転となるかも引き続き定かではない。同じく、12編成中全てが譲渡されるのかなども不明のままとなっている。

76型のバイモードを活かしてオスロまで運用範囲が拡大された。Photo by: NITS-Norway

現在のノルウェーの92型の運用範囲は、主に北部のトロンハイムを中心としている。本来は、後継型のハイブリッド車両76型で置き換える予定だった。しかし92型と同編成しか発注されていないのに、バイモードを駆使した76型は運用範囲の拡大などを行いオスロまで乗り入れることになったりと、完全に置き換えるには編成が足りないなど、大本の計画とは状況が変わってきている様子。

運用範囲拡大により、引き続き92型も必要不可欠となっているほか、76型のバイモードシステムの切り替えがあまりうまくいっていない模様。では93型で代走ができないのかと聞かれれば、こちらも同じく車両不足のようで、ノルウェーのディーゼル区間の運用は全体的にきつい様子。

2024年3月現在は昨年の大雨の影響で一部区間が不通となっているため、車両不足やトラブルはあまり目立っていないが、2024年夏ごろに目指されている再開後にはかなり深刻な状況になることが見込まれる。

なおノルウェーの車両と運行事情に詳しいちりめんじゃこ氏(NITStrainノルウェー支部)によると、現状では上記の通り車両状況が厳しいとはいえ、今年末ごろには状況が改善するかもしれないとのこと。92型が現在運行に就く範囲の一部区間であるTrondheim - Storlienが電化されるため、工事が終了するとともにスウェーデンの電車に置き換えられる予定があるとされる。これにより、92型の車両事情に少しばかり余裕ができる可能性があるとのこと。また、来年2月にはトロンハイムにてスキーの世界選手権が開催されるため、臨時便の運行が決定すればこれがノルウェーでの92型の最後の運用範囲かもしれないとのこと。しかしながら、仮にこのタイミングまで92型が余剰とならず引き続き必要とされる場合、新型車両が導入される予定の2028年ごろまで運用継続となる可能性もあるとのこと。

上記のことより、ウクライナへの譲渡は複数の条件が絡んでおり、ノルウェー国内の運転状況がすでに不安定である中、全編成を譲渡するとは思えない。先日運用を離脱したとされる4編成も、本来は営業についているほかの車両のための部品取りとして扱うつもりでもある様子。

引き続き、92型の動向を追っていきたい。

その他のニュース記事