オスロ市電の地下鉄乗り入れ、7月で廃止
たった10年弱で廃止か。世界でもなかなか例を見ない、路面電車が地下鉄路線に乗り入れる区間が2024年7月に終了する見込み。新型車両の保安関連が理由として挙げられている。
2014年12月に開始された路面電車の地下鉄乗り入れ。Øraker駅からBekkestua駅の短い区間が2009年から2011年の2年に渡って再整備され、世界的にも見慣れない第三軌条と架線集電の両システムが備わった区間でもある。乗り入れに向けて、両運転台トラムのSL95型は地下鉄の保安装置を搭載し、10年ほどに渡って乗り入れていた。
新型車両SL18が導入されているが、こちらの形式には地下鉄の保安装置を搭載するスペースが無いとされており、この度廃止に至る見込み。
なお廃止検討が開始された当初は衝突耐性が理由とされていたものの、その点に関しては路面電車車両だけでなく地下鉄車両も問題になるという結論に至り撤回された。すなわち、今回の理由も言い訳に過ぎないのではないかといった批判が飛び交っている。
7月の廃止後、路面電車13号線はØraker駅止まりとなり、地下鉄路線との乗換駅すらなくなる。特にSkøyen方面のアクセスが悪化することなどから、利用者からは不満の声が上がっている。また、周辺地域の中心となっているのがBekkestuaであり、特にBekkestuaバスターミナルはBærumの各所へ向かうための拠点となっているため、当該区間廃止による路面電車沿線の利便性低下が懸念されている。
当区間の見所としては、先述の通り地下鉄向けの第三軌条と路面電車向けの架線の両方の電気供給システムが設置されていること。それ以外にも、途中駅のJarにて地下鉄が路面電車を追い抜く退避設備があること、もう片方の途中駅Ringstabekk駅は高床ホームしかないために路面電車が通過することの二点がある。
当変更が7月に行われることになったのは、おそらく新型車両の導入の進捗状況によるものとみられる。現在は主に旧型車両のSL79と一部のSL95が徐々に置き換えられているが、SL79を全廃せずにSL95の廃車を進める模様。特に市内区間ではSL79型のみが通れる区間などもあるため、一部の区間は工事が完了しない限りは完全に新型に置き換えることはできない。なお地域管轄のRuterは当該区間の工事開始は2025年を予定としつつも、現段階では予算が下りていない。場合によっては当該区間から路面電車を締め出し、バス代行などで旧型車両を一斉に廃止する方向の可能性も考えられる。
2024年2月現在、SL18型は40編成ほどが導入されているが、SL79型が24編成、SL95型が20編成と、さほど廃車は進んでいない様子。
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