通称「雷都」でも名が知られる宇都宮。新たなトラムが開業したからには少なくとも下見に行きたい私は、いまだにテンションが高いままのアス君を連れてライトレールに試乗。自分の仕事上の経験と欧州や日本のほかの路面電車と比べながら、様々な目線で観察してみた2023年9月27・28日のブログ。
前回の投稿の通り、ホテルにチェックインしたのちに再合流し、夕飯を食べる前に再出発。まずは軽く記録から。駅の東口はできたばかりのトラムの影響か、まだ広々としていることもあって秋っぽい一枚も撮れた。こうして遠目から見ても、一ヵ月前に開業したとは思えないような街に馴染んでいるようにも見える。
実際に乗車。幅が2.65mともあり、車内空間も広く感じる。この幅はフランクフルト地下鉄と同じなので比較対象に使えるのだが、シートピッチも広めにとられている上に快適なのがポイント高い。気になった点といえば、通路と座席面の段差が特にマークされていなかったこと、そしてシート配置が窓配置と合わせられていないことくらいだろうか。後者は欧州ではよくあることなので違和感は感じなかったが、いい高さに段差があるのにひじが置けないのはちょっと苦しいかも。
んでまさかでBombardierとここで再開するとはね...(窓ガラスのロゴ)
ICカード利用者はどこからでも乗降可能なのも便利。しかも各扉の片側だけでなく、両側についているのもナイス。そしてドアボタンに欧州の親近感がわく。視覚障碍者向けのアクセントなのか、ドア部分の黄色い線は車内でも使われているCIの黄色より目立つ色をしているようにも見えた。
タッチの説明に関しては、黄色にグレー文字は少しばかり識別しにくいように見えた。これが黒文字ならコントラストが増すので読みやすくなるのではないだろうか。
宇都宮駅電停の整理券発行機。開業当初はICカードより現金払いの利用者が多かったと聞くが、一か月たったところで整理券を引いている方はそんなに見なかった気がする。
電停もかなり明るく整備されており、ホームも広めにとられていることから安心感がある。
車内の案内表示にも目を向けてみる。駅名の英語表記の部分のフォントがほかの統一された書体とは異なることが気になってしまったが、比較的わかりやすく情報過多でもないすっきりとした表示。
今後快速が運転される場合、途中通過駅の表示がどのように表現されるのかも興味深いところ。特に気になるのは種別カラー。
ベルモールのLRTブースが閉鎖されると事前情報を聞いていたので、試乗のついでに行ってみることに。
係員の方に色々とお話もお伺いでき、途中から頭がだんだん仕事モードになってしまい、普段なら聞かれないであろう質問にも対応していただき色々と資料も見させていただきました。唐突な怪しいドイツ人の訪問にも丁寧に対応くださって本当にありがとうございました。
私が特に感動したのは、LRTの紹介に関するパンフレットの多さ。確かに今までなかったものがいきなり登場するにあたって、住民への周知も重要なのはもちろんのことではあるが、ここまで丁寧に乗客向けだけでなく、並走する運転手向けなどの説明も豊富。
子供向けであろうと思われるペーパークラフトもいただいてしまった。作るか。塗り絵やステッカーなど、子供向けの宣伝も十分あり、すべての年齢層に向けて様々な取り組みが行われている点に関心。
駅方面に戻る際に、停留所の設備もよく見てみることに。
看板類は書体とデザインが統一されており、シンプルながらもわかりやすい構造になっているように見えた。特に英語表記もここまで大きいのはほかではなかなか見ない気がする。
路線案内を見る。欧州のデザインに慣れていると、一見リングの中の数字は所要時間に見えてしまうが、実際は駅のナンバリング。
今後の快速運転が開始されると、この路線図にも変化があるのだろうか。
大きいリング、小さいリングの違いがあまり分からなかった。快速停車駅となる停留所というわけでもなさそうだし、乗り換えターミナルというわけでもない気がする。
正直、かなり残念に思ってしまったのが電光掲示板。フォントが統一されていないことはさておき、デジタルだからこそ表示できるであろう遅延表示などが一切無い。この画像撮影時には発車時刻をとうに過ぎていたが、あと何分待てば来るのかもわからないし、遅れに関する情報は表示もアナウンスも無く、こればかりは不便に思えた。「あと○○分」の表記に変更できればより便利になるのだろうなと思った。
※トラム慣れしているただのドイツ人の個人の感想です
車両側の行先表示。停留所の名前だから仕方がないとはいえ、英語表示がこれほど読みにくいことは今まで経験したことが無かった。
一度趣味でドット打ちで再現したことはあったが、実物を近くで見るとより面白い。
駅前の交差点へ。まだ開業から一ヵ月とあって、まだまだ普段の生活に溶け込んでいないこともあるのか一瞬危険なシーンを見てしまったが、徐々に認知され始めている様子ではあった。
注意看板の類もきちりと統一されているのもいいですね。
さすがに二人とも限界が来たので、夕飯を食べに。十分収穫があったので、ともに満足。
北海道方面に向けて出発する直前、やはり朝ラッシュの風景を見たくて早めに起床。部屋を出る際に人生初めてインキーを犯した。幸い持ち物は持って鍵だけフロントに返すタイミングだったので大ごとには至らず。ご迷惑をおかけしました…
駅の電停に目を向けると、かなりの列。そして遅延が目立つ。出発していった列車はほぼ満員の様子。好調なのはかなり喜ばしいことではあるが、増発されない限りは厳しそうな雰囲気も醸し出していた。
新幹線の出発時刻が迫りつつあったので、私は先に離脱。アス君は宇都宮に居残り、午後までトラムと餃子を楽しんでいた模様。体調の関係であまり食を楽しめなかった私は、次回の日本もまた宇都宮行きを考えているところ。