Mannheimの市電が125周年ということで、パレードが開催されることになった。予告には15編成の展示とあるので、これは行くしかなかった。地元のフランクフルトのイベントを蹴ってまで向かった先の2025年6月29日のブログ。

先に謝罪させてください。今回はYagiyaさんに立ち寄れなかったので、ここから先は完全に鉄道関連の記事になります。ケーキ食べたかった...でも灼熱の地獄は私自身にもケーキを持ち帰る距離的にも厳しかった...次回は必ず立ち寄れるように頑張ります...

さて、本題へ。フランクフルトからはいつも通りのルートでマンハイムへ移動。マンハイム終着の便だったのが意外だったものの、考えてみればシュツットガルト方面は工事の都合上運転していないんだった。車内が空いているのは助かった。

到着してすぐに向かったのはパレード開催の場所ではなく、街の中心部から少し離れたNationaltheater停留所。パレードの準備に際して、使用される車両は一旦Schafsweide付近に集結されるのだが、車庫からのルートで唯一順光撮影が可能な場所がここだった。現地に行って見れば案の定ほかの撮影者がいたが、お互い顔見知りだったので少々話しながら待つことに。その知り合いとはrnvで高めのポジションについている方なんですよ。なぜその話を持ち出すか、後程わかります。なんだかんだで出庫時間に。

突然の豆知識コーナー。ここから先、編成車番が複数登場しますが、一部編成は新システムの4桁の番号が振られています。車体には本来の車番が表記されているため、千の桁は()で表記しますが、システム上は
- 1xxx: RHB
- 2xxx: Ludwigshafen
- 3xxx: Heidelberg
- 4xxx: OEG
- 5xxx: Mannheim
に分けられていました。RNT2020が導入されてからは関係なくなったんですけどネ。

トップバッターは装飾されたGT6型の455号編成。こちらは1969年製の車両で、運転席の窓が既存のデュワグ顔と異なり大型化したもの。ここに導入されたきっかけでマンハイム型と呼ばれるタイプです。

以前はヘルシンキに譲渡されていたものの、マンハイムの運転手一人が個人で購入し舞い戻ってきた車両。大金を自分に使うのではなく、鉄道車両に使うとはすごいと思うよ、ほんと。10年かけて整備され、2023年から動態復活しています。

続いてやってきたのはGT8N型の(5)516号編成。1964年製のこちらの編成、つい先月まではrnvのオレンジベースのカラーリングだったのですが、(5)501号編成が廃車されてしまったためこの編成が旧塗装となることに。再塗装されてから本線走行をするのはおそらく今回が初めてだったので、かなり綺麗な状態で記録できました。

501号編成の記録

516号編成の先月までの姿

続いてやってきたGT6NとVariobahnは後で紹介するのでいったん飛ばしまして、GT8型の(2)156号編成が到着。

こちらの1971年製の編成は2020年からrnvカラーで動態復活しており、実際に営業運転にもついていた時期も記録しているほか、撮影貸切にも参加したことがあったので個人的にはあまり新鮮味はなかった。豚鼻ライトがかわいいね。

ところで旧型車がすべてわざわざ中線に入るのを不審に思い聞いてみたら、やはり事前に運転手たちに一報入れていたようで。さすがお偉いさんです。

さて、マンハイム市内の車庫から出庫した編成は一旦落ち着き、ハイデルベルグから鉄道線経由で回送されてきた車両たちが続々と到着。この停留所が双方の合流ポイントだという点もアツい、動かずとも3方向からやってくる列車のうち2ルートは記録できる。

1975年製のGT8型より(3)204号編成。156編成と比べると、ドア配置やサイズ、そして前面形状の違いが分かりやすい。

ところで、公式の予告曰くハイデルベルグから参加する編成はこれ一本だったはずなんですよ。

なんか追加でM8C型がやってきましたね。

こちらは近いうちに引退する予定のハイデルベルグ市内線向けの車両で、普段はマンハイムに来ることが無いからそれもそれで貴重な一枚。最近では常に広告ラッピングがされていたので、標準塗装を記録できたのはかなり久しぶり。

続行運転でやってきた1122号車は後程紹介。

マンハイム市電のみならず、ドイツの鉄道に興味を持たせてくれた1018号編成。1963年製のET6型で国内唯一の生き残りで、個人的には大きな意味を持っている車両が残っているところには何かしらの運命を感じる。

この車両が無かったらドイツの鉄道に興味を持たなかった、今頃こんなに詳しくなれていなかったし鉄道関係の仕事になんてついていなかった。2020年の出会いに、心の中で感謝しつつ拝みながらシャッターを切った。

登場時は世界最長の路面電車だったET12型。1967年製の5連接車両は4本のみ製造され、最後まで残り、10年以上の長い改造期間を経て動態保存で復活したのはこちらの1020号編成。

以前のオープンデーでご対面していたものの、やはりこの最高の天気の下で、そして特徴的な編成全体が一枚に収まる場所で撮影するのは最高だった。

このあとのハイデルベルグからの2本は信号故障で遅れていたので、私はパレードが行われる沿線へ移動。

移動先で場所を探している最中に、パレード向けの作業用車両が近づいてきた。街の中心部で歩行者道の真ん中を突き抜けるトラムの線路に響き渡るディーゼルエンジンの音。なんかわけわからなくていいですね。

こちらは1985年製のKlv53型作業車(2)010号。Klv53型といえばDBなどの本線用のクレーン作業車なのですが、イレギュラータイプとしてメーターゲージ版のトラム向けが存在するんです。かなりレアなので記録できてよかった。

場所探し中にばったり友人に遭遇。彼はここ近辺の保存会のうちの一つの代表者で、今回のイベントにも(やはり)関わっていました。

さて、パレードが開始。先導するのはrnvが持っている中でも古い動態保存車両の45/46号編成(または4045号)。こちらはFuchs製のT4+S4型で、1928年に製造されたもの。

貸切向けの車両で、この日もレンタルされていたようで貸切運転がパレードに乱入する形だった様子。確かにこの車両がいないパレードはどこかしら違う気がするので、短時間であれど見ることができたのは良かった。

ここから先ほど掲載した車両が続いたので、まだ紹介していない編成までスキップ。

短い一両で、長いパレードの列で異色を放っていたのは1939年製の1122号車。こちらはちゃんとした形式名すらなく、Fuchsでたったの2両しか製造されなかった少数形式。もう一両いた1121号車は戦時中に廃車となるも、86年経った今でもまだまだ元気に活躍中。良く整備し続けたよなぁ、と毎度感動してしまう(からシャッター切るタイミングをミスったのである)。特徴的なパンタも唯一無二の特徴。

自社広告を纏っているのはGT6N型の5641号編成。1995年製のデュワグの低床車両ですが、こちらもおそらく近いうちに廃車になりそうな感じ。

それにしても、行先表示まで特別仕様にしているほどに力を入れているのはすごい。と思ったが、考えてみればそもそも18編成準備したうえに、街中の重要幹線でもある営業路線を2時間ほど潰してまでこのパレードをやっているのは凄いというよりクレイジー。

さて、今回のサプライズでもあるVariobahnの5712号編成。こちらは最初の撮影場所で背後にいたお偉いさんもデザインに関わった記念ラッピング車両となります。

rnvは元は20年前に複数の会社が合併して誕生したもので、それ以前は車両は同じものを発注しながらも色が違ったりしたわけですね。そのrnvの20年前のカラーバリエーションを進行方向右側に、市電125周年の歴史カラーを左側にラッピングしています。

もうちょっと横から記録したかったものの、ここは街中中心部。人が多すぎて、そんなことをしている余裕はなかった。

少なからず、逆光ながらも進行方向左側の歴代カラー図鑑を記録。一部はすでに登場しているほかの車両で見た覚えがありますね。

両エンドは最新型トラムRNT2020に合わせており、過去と未来が一本に収まっている編成が誕生したわけです。しばらくこの状態で運転されるけど、なんせトラムは事故が多いので早いうちに完全体で記録しておきたい。

間の紹介済みの車両は飛ばしまして、V6。1996年製の少数形式、6本のうち最後まで残った4122号編成もこのイベントの前の週には検査切れで引退したのだった。まさかこのパレードのためだけに例外認可を受けて動いてくれるとは思わなかったので嬉しかった。

そしてなにより引退を惜しむ行先表示。最後の最後まで愛された車両なのだなと、あらためて実感。

V6の後に続くのは、車幅が同じ2.50mのワイドボディ車のGT8。1966年製のこちらの(40)82号編成は、他の市内線向けのGT8と違い鉄道線向けの横幅なので、似たような顔でもやや広く感じる。2.50mはこの2形式だけだったこともあり、市内区間の走行制限などもあったことから早めに置き換えたかったのだろうか。

82号編成は現在では教習車として使われており、今後も残る予定だそう。

人が多すぎて満足いくほど記録できなかったRastatt型。1963年に製造された単車で、間に付随車を2両挟んだうえで動力車のサンドイッチ、4両編成でやってきました。後ろには銀色帯の付いている71号車だったので、個人的にはそちらを先頭にしてほしかった。

こちらは作業用車両として使用されているので、突如現れることもしばしばあるそうで。私は今まで出会えてないんですけどね。

パレードの最後を飾るのは、最新型車両RNT2020。Skoda製の車両で、30m版、40m版(20m片運転台タイプを背中合わせ)、60m版(30m片運転台タイプを背中合わせ)の3種類が存在し、増備が順調に進んでいる様子。つい先日納入されたばかりの1511号編成が使用されました。

この車両の出発によって、パレードは終了。暑すぎるので速攻帰ろうと思い、中央駅方面へ向かう中、とある違和感に気づいた。逆光ながらも、再度望遠レンズを覗いてみた。

あんた、50m編成じゃないの。

要するに、営業運転では予定されていない30m版と20m版を背中合わせに連結した編成ですね。たしかに予告にはRNT2020としか書かれていなかった。てっきり最新の60m編成が来ると思ったが、とんだ思い込みだった。

...遊びすぎでは...? この自由なトラムの遊び方、フランクフルトでもやりたいもんです(以前は自由すぎたからあんなことこんなことができた、という話はさておき)。

パレード参加編成をおさらい。そうです、本来の予告よりいろいろと増えてます。

  • Fuchs T4+S4 (45/46)
  • Düwag GT6 (Mannheim) 455
  • Düwag GT8N (Mannheim) 516
  • Düwag GT6N 5641
  • Bombardier Variobahn 5712
  • Düwag GT8 (Ludwigshafen) 156
  • Fuchs 1122
  • Düwag ET6+EB6 1018+1058
  • Düwag ET12 1020
  • Adtranz V6 4122
  • Düwag GT8 OEG 82
  • Rastatt T4 77+192+181+71
  • Schöma Klv53 010
  • Düwag GT8 (Heidelberg) 204
  • Düwag M8C 3256
  • Skoda RNT2020 1511+1842

街中を半分封鎖したうえで、この数の保存車両を含め営業車両もかき集め、特別仕様を仕立てたrnv。元からクレイジーな会社だが、今回のイベントでそのヤバさがより目立ったのではなかろうか。特に本来はパレードに参加予定の無かったM8Cをわざわざ遠いハイデルベルグから持ってくることもなかなかだなと。お偉いさんの友人が暇してたから車庫から攫ってきたとか言ってたけど、それが許可されるのもそれはそれで自由でいいなぁ。

余談・本来はこの後直帰せずにフランクフルトの臨時運転に立ち寄るつもりだったのですが、暑すぎて断念。暑さで車両故障が発生し、どのみち運転されなかったことを知ったのは家に帰宅してからである。どうやら正解のルートを選んだようだった。最近正しい選択ばかりしているようなので、そろそろ乙女ゲームとか始めるべきなのではなかろうか(やらない)。