ダイヤ改正とは、新たなる列車が誕生するとともに古いものが消えるタイミングでもある。とはいえ、直前になるとマニアが集結し大変なことになりがちなので、早めに訪問しておきたい気持ちも大きかったのである。客車列車に9時間ほど揺られた6月19日と20日のブログ。

さて、まずは今回のルートを先におさらい。これ前回のスイス弾丸旅行の時に忘れていたので、そちらのルートは水色で。今回のルートは橙色で表示しております。基本的に、未開拓の地域がある場合にはそちらを経由するようにしているので、行きと帰りで別々のルートを通ってみることに。自分の部屋にある乗りつぶしマップは今回もかなりの距離の線を描きましたとさ。では本題へ。

何の変哲もないいつも通りのRE5でフランクフルトからフルダに向かい、乗り換え待ち。この駅は貨物列車も多く通ることから、乗り換え時間が長かろうと暇つぶしできるのです。

今回乗車するIC2085は旧型客車による運転で、謎の措置が取られてからは食堂車がついていないのがネック。駅で食べ物を買い込み、準備は万端(と思われたが...詳細は後程)。

このICは例外で逆線入線を行うのも見所。南方面行きの列車だからと3/4番ホームで待っていると痛い目に遭う。

このIC2083/2085(及び逆方向のIC2082/2084)列車の特徴として、途中のアウグスブルグ駅にて分割が行われること。ハンブルグから南のほうまで一本の列車として走り、二つの方向に分かれていく列車ということですね。バイエルンではよく見られる多層建て列車。ニュルンベルグ方面では、一本の列車が4つに分かれて4方向に行くなどもあるので乗車時に注意が必要だったりするわけですね。案の定乗り間違えてる人がちらほら。

さて、フルダから6時間弱の長旅が始まります。

今回の旅も一等車で取ったので、レザーシートの座席に。この列車の一等車は大部屋ではなく、個室車。結論から言うと、乗車から終点まで完全に貸切状態でした。

カタンコトンと心地よいリズムと音を刻みながら走り続ける列車。まぶしすぎず温かい日差しも差し込んできており、時に線路の繋ぎ目で発生する軽い揺れはゆりかごのように安らぐ効果があるのだろうか。景色を眺めていたはずなのに、途中で少々眠りについてしまったのである。列車内では普段は寝ないこの私が。どっかのブログで書いたことあるな、さては列車内の寝落ち回数ここ数年で上がってるな私。衰えを感じる。

ところで皆さんはこの水をご存じでしょうか。そうです、列車内に常備されている緊急時用の水ですね。

食堂車が無いから食べ物は買った。鉄道旅史上初のやらかし、飲み物を買い忘れたのである。しかも普段からバッグに入れているはずの持参緊急水が無いのである。気を抜きすぎましたね、反省。車掌さんに感謝です。

アウグスブルグに到着。ここで分割作業が行われ、前よりの列車はそのままミュンヘン方面へ出発。

客車5両だけがぽつんと残る。去っていった前半分の代わりに、ここから終点まで牽引してくれるディーゼル機関車が到着。私は連結作業を写真に収めつつ、ドアのすぐそばにあった自販機で飲み物を購入。

連結作業も順調に行われ、引き続き定時に出発。機関車のすぐ後ろだから、ディーゼルの振動が少し伝わってくる。

途中駅のImmenstadtに到着。ここから終点までのラストスパートは進行方向を変える必要があり、20分ほど停車する。機関車を順光で撮影するチャンスなのである。

かなり綺麗にキープされている218の415号機。元の予定では446号機が牽引するはずだったが、どうやら故障でこちらに変わった様子。

方向転換してからおよそ30分、終点のOberstdorfに到着。ドイツ最南端の駅です。

天気も良いし観光したいところではあるのですが。連休ということもあるからか、ホテルが軒並み高く、結果としてはリンダウに宿を取ったのですぐに乗り換えることに。

時間無いながらも、列車名にもなったNebelhornの写真を一枚。山頂は標高2224mに位置しているようですよ。

Immenstadtまで通常列車で戻り、リンダウ行きの列車を待つ。予約した2週間前のタイミングでは、この列車はリンダウの島の駅まで直通するはずだったのが、どうやら直前になって工事の都合上で手前で打ち切りになっていた。まあ乗り換えればいい話なので問題は無いのですがね。

BR612。ここから1時間ほど、文字通り揺られます。

この写真、斜めになっているように見えてちゃんと平行です。BR612はカーブを高速で走り抜けられるように振り子機能を搭載しており、車体がこれほど傾くわけですね。この状態で時速110kmとか出しつつ、S字カーブを抜けたりするもんだからほぼほぼアトラクションです。詳細は控えつつも、ごみ箱の設置数がほかの車両と比べって多めなのはそういう部分もあるのだろうか。ウィップ。

ちょっとだけ、フォントの面白み。"Schifffahrt"(航路)という単語にfが三つ並ぶわけですが、どうやらDB Sansではffの組み合わせでスペースが小さくなり横棒が貫通するようで、並べてみると一つ目と二つ目の間、二つ目と三つ目の間のスペースの違いが分かりやすい。

なんだかんだでドイツのベネチアことリンダウに到着。だいぶ昔に家族で来たことがあったような。灯台までの細い道は記憶にあったものの、もっと大きかったように思っていたので記憶を辿ってもあまりしっくりきていなかった。子供のころに大きく見えたものが、成長して大人になったから小さく見えるのだろうか。

水も澄んでおり、雲が少ない空と合わせて青が一面に広がる。最高の散歩日和だったので、島を半周。

天気と気温は水に入るにはばっちりで、自分も水着を持ってくるべきだったなと少しばかり後悔。ただそれだとカメラを持ち歩けないので、と自分に言い聞かせつつ我慢。近くの売店で軽食を買い、防波堤に腰かけて風にあたりながらのんびりと食べる。たまに通過する列車にカメラを向けつつ、夏を感じる。急遽決まったからあまり時間が取れなかったが、もう少し長居したかった。

翌朝、7時前。帰りの列車の都合上、早朝に出発せねばならずこんな時間に駅に。そりゃ誰もいないわけで、もっとちゃんとカメラを構えればよかったなと携帯で適当に撮ったこの一枚を眺めながら思う。

そしてまた振り子に揺られ、Oberstdorfに戻る。

行きの列車は機関車1両に客車5両だったのに対し、帰りのIC2012"Allgäu"は機関車2両に客車7両とちょっと長め。編成がホームからはみ出るわけだけど、信号場の係員に許可を得て柵を超えさせて撮らせてもらいました。

こちらのBR218は行きの車両と違い旧国鉄時代の色を纏っているので、なおさらありがたかった。

帰りも一等車。こちらも個室車両だったが、幸いにもまた貸切状態。

行きの列車とは違って、こちらの列車には運転台がついている制御客車が編成されていないのでImmenstadtの方向転換で機関車の切り離し作業が行われる。もちろん降車して撮影。私のように撮影に来ている人は他にも。特に沿線にはかなりの撮影者がいたのはびっくり。朝から何やってんだ。

制御客車がついていないということは、後方展望ができるということ。Immenstadtの方向転換後は一等車が一番後ろに回るので、撮影し放題。少しだけ動画も撮影したので、いつか公開します。

出発してからおよそ3時間、シュツットガルトに到着。私のICの旅はここで終わりです。とはいえ、ここでディーゼル機関車が切り離されて再度方向転換が行われるので、その撮影はもちろん行う。

電気機関車が連結され、そのまま出発して行く客車編成。そのあとを追うようにここまで頑張ってきたディーゼル機関車が近づいてきて、そのまま車庫へと舞い戻っていく。

このような光景が、今年の12月のダイヤ改正前に消えようとしている。もったいないと思う反面、さすがに長年使われてきた客車編成も確かにボロボロだった。来年の後半以降はIC2012/2013列車が新型車両のICEとして復活する予定だが、IC2082+2084 / 2083+2085は今回のダイヤで消滅する見込みともあり、一つの時代の終わりが近づいてきているようにも思える。

さて、EC218に乗り継いでフランクフルトへ戻る。

...予定でした。30分遅れで入線して来てすでに嫌な予感がしていたのですが、まさかでシュツットガルト打ち切り。最近のÖBBの車両故障による運休率はDBよりもひどい気がするぞ。

仕方なく、代わりのICEで北上し、無事に帰還...したと思ったら家の給湯器が壊れてた。踏んだり蹴ったりすぎないか。

なにはともあれ、初めての景色を満喫し、天気に恵まれ、人も少ないうちに消える列車に乗車して記録して。自分なりの鉄道旅の楽しみ方を存分に味わえ、なおかつ辿り着いた先の街も楽しめた。夏はまだまだこれからとはいえ、夏っぽいバカンスを楽しんだ連休でした。