ベルリン郊外の小さな町、Woltersdorf(ヴォルタースドルフ)。鉄道好きの人にとっては、長年走り続けてきたGotha車の聖地でもあった。60年ほど駆け抜けてきた車両たちも、ついに引退の時。

※お断り・一部の画像に選挙ポスターが映りこんでいますが、現地の状況をそのままお伝えする意図も含め、モザイクなどはかけずに投稿します。映っている政党や人物とは一切関係ありません。

2月中旬に、Xでこんなイベント予告を投稿した。この時、自分は行けるかどうかすらわかっていなかったので、正直投稿すべきかどうか悩んではいた。

結果として、都合がついたことで行ける状態にはいたので、あとはこの重い腰を上げれば... 最終的に、2日前まで悩み続けたものの、行くことにしました。

宿泊を伴う遠征は昨年10月のネルトリンゲン以来4ヵ月ぶり。まぁ何かしら忘れるとは思っていたけど、まさかパジャマを忘れるとはね。出発してから気づいたので、時すでに遅し。道理でバッグが軽めなわけだ。まぁそれはいいとして。

今回の旅の様子は久しぶりにリアルタイムでXに投稿していたので、一部の投稿を見ていた方もいらっしゃるかなと。

フランクフルト中央駅でICE待ちしている最中ももちろんカメラを構えていたわけです。普段ならこの3並びは発生しないんですけど、左からポイント故障で入線10分遅れ(目の前でポイントが故障するタイミングを見た)、出発3分遅れ、入線2分遅れで実現した並びでした。

特に最近のICE1の先頭のフロントカバー部分の帯の処理が通し帯じゃなくなっていることも多く、貫通帯を久しぶりに見た気がする。それもあって、これほど綺麗な状態の編成たちの並びを記録できたのは良かったなぁと。

そんな幸先良い旅のスタートです。

今回は行きと帰り、ともに1等車で移動。やはり心地よい。

ベルリンに到着して、まず撮りに行ったのが案内看板。S15の表示がすでにありますね。まだ開業してないのに。開業してないどころか、3月開業予定だったのもまたもや延期されたからなぁ。

時間的にちょっと余裕があったので、軽くふらつこうかなとS-Bahnホームに上がると...

また君ですか

昨年9月にイノトランスのタイミングでベルリンに行った際も、最初の列車がベルリンS-Bahn100周年記念号でした。一本しかいないのに、出会う回数が多い。

私は逆方向の列車でOstbahnhofへ。

ポーランドから直通のICを記録。ほぼ同時に逆方向が入線しており、これにてPKPのES64型も初撮影。

こちら側はBeaconのVectron牽引。元々は三井のMRCEブラックだった車両も徐々に塗装が変更されているようで、Beaconブルーな車両ははじめて記録。正直なところ、あまりしっくり来ていない…

こちらでも軽く撮影して、いい時間になったので最初の目的地へ移動。

ベルリンの東のほうに位置するFriedrichshagenに到着。夕方ラッシュになれば本数が増えるので、それに合わせて訪問。最初にタトラ。こちらはSRSの88号線にて通常でも使用されている車両で、形式別で言えば最も数が多いタイプ。

...それにしても大雨。傘を差しながら撮影に挑んだこともあって、あまり良い撮影ができなかったのはお許しを。

Mülheimから転属したM8C-NF型も運転されていました。277編成と278編成が塗装そのままで車番を-200したうえで使用されていますが、78編成は事故の影響で長期離脱中。一編成のみ動けるので記録できるか心配でしたが、どうか無事に再会。この編成はMülheim時代だった2021年に記録していたので、まだまだ元気そうに動いている姿を見ることができたのは良かったです。だいぶ汚れてるがな。

少々待つこと。遠くに怪しげなライトが見えたので、望遠レンズ越しに覗いてみる。

ありがとうございます。3度目の訪問にして、ようやくSchöneicheの主ことGT6を記録。

こちらは元Heidelbergより転属したDüwag車。前後で車体色が違うのは昔からではなく、ここ半年のお話。というのも、見えている手前側が48A、奥側が元47Bなのです。なにを意味するか。本来は別々の2編成だった47編成と48編成は、それぞれ別々に追突事故により大破してしまい、長い間離脱していました。後にほかの編成も乗用車やトラックとの衝突事故で修復に時間を要することになってしまい、車両不足に陥ったSRSが下した判断は、事故で大破していない車体半分同士を連結して新たな47編成を組み上げるということ。こうして現在の47編成(2代目)が誕生したのです。

3分後続のArticもついでに記録。こちらは3編成導入されていますが、2編成が事故により長期離脱しているため現在は51編成のみが稼働中。

...なんというか、SRSがかわいそう。何なら撮影中もここの踏切を信号無視して暴走する車が数台いたので、事故原因はお察し。

旧型車両を置き換える目的で導入されたHeidelbergのMGT6D型も、先日車庫に到着したばかりなのに一週間後には倒木の影響で車体破損しており、おそらく全損。あまりにも運が悪すぎる。

あまりにも雨が強いので、ここで撮影を切り上げて一駅隣のRahnsdorfへ。

降りてみりゃこちらは一滴も降っていない不思議。そしてお久しぶりです31号車。乗ってきたS-Bahnと絡めて一枚。

今までの訪問では一駅先のGoethestraßeで降りて森の中で撮影していましたが、今回は宿をWoltersdorfに取ったこともあり、終点まで乗り通してみることに。

31号車は1959年製で、1986年にドレスデンから転属してきた車両。すでに還暦を迎えている車両に揺られること15分ほど、あっという間に反対側の終着駅に到着。ダイヤ上、折り返し時間は2分だったので私は軽く撮影してからいったんホテルにチェックインすることに。

再度街に向かおうと外に出ると、すでに暗くなりつつある時間。タイミング悪く列車が無かったので、徒歩で市街地へ。

ついたころには31号車が戻ってきた。それにしてもWoltersdorfの街中、暗い。街灯もまだ点灯していなかったので、逆にGotha車の温かみのある光が目立つのは良いとして、撮影が難しい。

目的のスーパーが隣にあるので、車庫を覗いてみる。32号車が寂し気に佇んでいたが、他の車両は基地内に留置されているようであまり見れず。

買い物を済ませ、夜の撮影へ。

正直なところ、満足できるような写真はあまり撮れておらず。どちらかといえば記録程度のものだと思って下さい。

Berliner Platz では上下列車の交換が見られるので、少々待機。なおホテル方面はここから20分間隔なので、一本逃すと暗くて寒い中徒歩確定。まあこの後歩いたんですけど。

せっかくなので、増発運用に就いていた新型車両も記録。Modertrans製の Moderus Gamma 43号車。デザインは賛否両論あるとはいえ、ステップフリーなアクセスも快適だし、なにより揺れも少なく思った以上に静か。最近の車両はモーター音がキーンとなるものが多い中、ここまで静かな新型車両は逆に驚く。

徒歩で中心地に向かい、入庫便を待ち構える。てっきり43号車が入庫するのかと思いきや、31号車が車庫入り。偶然にも車の通りもなく人もおらず、最高のコンディションで一枚。寒かったけどね。

なお画像では明るそうに見えていますが、マジで旧東ドイツ製と思われる街灯が暗いのなんの。スマートフォンのライトのほうが明るいので、歩いている最中はそっちをつけてた。街灯暗いし歩道ガタガタだし、こんな離れたところでケガするもの嫌なんでね…

これ以上暗い中の撮影はあれなので、ホテルに戻り、しばし休息。

朝一で車庫に向かう。昨日32号車が停泊していたところには27号車がいて、ラストランの張り紙がついている。

27号車は1977年にSchwerinから転属してきた1960年製グループの一両。

ほかの車両も出庫シーンは収めているものの、あまり変わらない風景なので省略。

それにしても、最終日ともあって人が多いですね。一部の出庫時はほぼほぼ無法地帯並みに道路に出てまで撮影する人が多く、治安があまりよろしくない。私は安全なところから望遠で記録。というか唖然としながら傍観、といったほうがあっているだろうか。

人込みを避けるために、この出庫便に乗って別の場所へ移動。

30号車の車内には車掌も乗車しており、最終日の記念乗車券も無事に購入できた。私は事前に情報をいただいていたのですぐに買いに行ったが、この後遭遇した友人たちをはじめ多くの撮影者が知らなかったらしく、悔しがっていた声を見かけた。

ちなみに車内で軽く取材を受けていたので、どこかのメディアにこの切符番号が映っていたら何となく察してください。

枚数が多いので、ここからは大幅に省略しながら紹介。

33号車は今回が初めて。Woltersdorfにいる現役Gotha車のうち、一番古い1957年製造グループの車両です。こちらもドレスデンからの転属。

ちなみに私がほかの撮影者が映らないように記録できたのはこれがラストでした。要するに人が多すぎる。

ヤラセ撮影が目の前で行われようとしていたので、私も参加させていただきました。いいですね、トラバント。しかも当時のナンバープレートもつけて。

さて、ここらへんから明らかに列車が遅れ始めました。ベルリン方面から来る列車、どれも東京の満員電車かってくらい詰め込まれており、坂を上る車両たちも気持ち唸っていたような。

森林区間での撮影を試みる。

まぁ無理だわな。

誰もいない、大丈夫だろうと構えるも、車両が来る直前に画角に人が入る。ここでもなんか喧嘩してる人がいましたが、ほぼ同時刻に終点の方で警察沙汰になるレベルの殴り合いが発生していたらしい。治安...

森林区間、撮影を諦める。

これは無理だ。さすがに人が多すぎて自由な撮影が難しい。

とはいえ、さっき中心街の方で見かけた人もいたので、チャンスかと思い街のほうへ。

結論から言えば、この判断が正解だったかもしれない。出庫時のような人混みは無く、撮影がしやすくなっていたので離合を記録。

なぜか31号車に遭遇する機会が多く、今までの訪問時の写真を含めダントツで記録した枚数が多い。

さて、ここまであまり説明してこなかったものの、察している方もいらっしゃるのでは。31号車、32号車と33号車にはラストランステッカーが貼られていない。今回確実に離脱するのはステッカー付の27号車、28号車、30号車の3両で、残る3両によって1957年製、1959年製、1960年製の3種類が残る予定だという。大きく異なるわけではないとはいえ、マニアにとっては3形体が残るのは嬉しいことだと思う。

帰りの列車の時間が迫る中、ギリギリまで撮影。やはり森林区間の撮影を捨てきれず、再度流し撮影に挑戦。

100%満足しているかと聞かれたら違うが、妥協できる一枚が撮れたかなと。

これにて私はWoltersdorfを離脱。

Woltersdorfの今後について、いろいろと聞き出せたのでまとめてみる。

今回のイベントをもって引退するのは上記のとおり27号車、28号車と30号車の3両。残る31号車、32号車と33号車は予備車として保管される予定で、引き続きラッシュ増発便などでも使用され続ける予定とのこと。こちらは公式の回答は得られなかったものの、新型車両を3本同時運転すると電力問題が発生するとのうわさを聞いており、実際に2列車以上の運転は今まで行われていない。そもそも現在、新型の4両のうち1両は年末に花火の爆発によって前面ガラスが破損したらしく、工場に送り返されているためWoltersdorfにおらず、追加発注の44号車もまだ認可が降りていない状況と聞いているので、どちらにせよ旧型車両の手を借りないと運用が回せないと思われる。これも回答を得られていないものの、新型車両の重量問題も残っており、長期的にインフラ部分に影響が出ないかといった心配も残っていると思われ、引き続きちらほらとGotha車の運転が見れる可能性が高い。とはいえ、イベントのようなGotha車同士の離合は今回をもって貴重な風景になることは間違いないだろう。

さて、中央駅に到着して帰りのICEの入線を記録。9003編成でした。外装も車内もかなり綺麗だったので、おそらく検査明けだったのかな。本来の運用回しとしては別のICEからの折り返しとなるはずだったのが、確認してみれば車庫から出てきたばかりのようなのでラッキー。

Xでもすでに投稿していますが、帰りの列車は3月1日。要するに食堂車の新メニューに切り替わったタイミングですね。さっそく、チーズバーガーを試してみることに。注文するのは私が初めてだったようで、スタッフさんは慣れない手つきであたふたしながら作ってくれました。トマトジュースと合わせて食べたかったけど、そちらはまだ在庫が無かったようで泣く泣くパス。また後日食レポします。

チーズバーガー、期待以上だったのでオススメです。サイズも黄色いMのバーガーより大きく、かなりボリュームのある一品。ポテトの付け合わせメニューなどもありますが、これ単体でも満足できるサイズ。

一旦6月までの限定メニューらしいので、チャレンジはどうぞお早めに。